2012年05月15日

1年ぶりに女川町を訪れてきました

こちらは震災前の女川駅・駅舎です。
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そして、これが震災後の姿です。
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Photo by 平塚音四郎

女川町は、宮城県の被災地の中で電気、水、ガス等の復旧が最も遅かった地域です。
その被害は大変大きく、今でも自分の記憶の奥底に焼き付いています。
2011年4月末に訪れた時の写真です。
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1年後の写真がこちらです。
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ここまでくるのに、大変な困難と努力があったと思います。
瓦礫を右から左に移動しただけじゃないかと言う人もいるかもしれませんが、1年前、この町に充満していた海産物の腐敗臭や退廃的な空気感がなくなっています。これは現地に立った人でなければわかりません。

津波がきた時に、皆さんが避難したといわれる高台の病院です。
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この横に地元の方々が集まるコミュニティカフェや色々な施設ができていました。
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限られた時間の中で一部の方々にしかお会いできませんでしたが、この町に笑顔が増えたと思いますし、復興に向けて前へ歩き出した皆さんを見ることができました。本来は逆ですが、被災地に行くと毎回皆さんのほうから元気をいただきます。

東京では1年前と比べて被災地への関心が薄くなってきていますが、本当の意味での復興はこれからです。まだ時間はかかると思いますが、女川町の復興を願うと同時に、今後も私たちにできることがあればお手伝いしていきたいと思います。






posted by カワセケンジ at 20:49| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年04月28日

東北の復興支援で、私たちが試されていること

東日本大震災からまもなく14ヵ月が経とうとしていますが、放射能汚染や膨大な量の瓦礫撤去など、政府の対応も遅々として進まず様々な問題が山積しています。事実、行政がリードしていかなければいけない問題も多いのですが、長く険しい復興支援には企業の力が必要だと、私はこの一年間言い続けてきました。

「寄付やボランティアも大切だが、継続的な復興支援には雇用の創出が必要」という話をよく耳にしますが、雇用ありきというのは本来おかしな話。補助金を使って雇用の場を作ることができても、仕事がなければ続きません。通常のビジネスと全く同じなのです。

仕事を作るにはどうしたらよいか?新たな「需要」や「市場」を創り出すことです。ビジネスの力で社会問題を解決するソーシャルビジネスだからといって、マーケティングをしなくてよいというわけではありません。やはり現場・現物・現実をよく観察しながら需要を見つけ出すことが重要なのです。

一方で企業のほうはというと、竹井善昭氏が提唱する「CSR3.0」の時代へ突入しています。「社会貢献」から「本業を通じた社会貢献」へ、そして現在は「本業と統合した社会貢献」へ。つまり、「本業とどっちが大切なんですか?」という話ではなく、本業と社会貢献は対立概念でもなく、まさに自社の成長戦略としてのCSRが求められているのです。

「日本の98%は中小企業。だから中小企業が元気にならなければ、日本は元気にならない」「これまで日本が創り上げてきた資本主義の経済システムでは限界がある。このままでは中小企業は大企業に勝てないし、幸せにならないのではないか?」こう話す経営者の方々が、最近は私の周りでも急増しています。今の時代への閉塞感だけではありません。「CSR?何それ?」「CSVって何の略?」という経営者でも、事業規模や社員数を拡大していくことや株式公開だけが企業の目的なのだろうかという問題意識を持ち始めています。

その解決策は決して一つではないし、正解もありません。しかし世の中に希望を生み、自分たちが必要とされ、皆と幸せを共創できる― それが社会貢献であり、それを自社の本業と統合したものがソーシャルビジネスなのです。

未曾有の大災害となった東日本大震災によって多くの尊い命が失われました。そして、東北地方が以前から抱えてきた過疎化という問題を加速させました。このまま衰退させてしまうのか、元通りの形に戻すのか、あるいは新しい日本の共創社会の形を実現するのか。今まで日本人が経験したことのない前人未到の挑戦ですが、少しずつ増えてきた社会企業家やソーシャルビジネスの真価が問われています。そして、その舞台がまさに東北地方の被災地なのです。

今の私に何ができるかわかりませんが、来週は宮城県を再訪してきます。
南三陸町戸倉の方たちとの再会が楽しみです。

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posted by カワセケンジ at 19:08| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年04月22日

印刷会社における真の「顧客志向」とは

「顧客志向」は最も重要なマネジメント能力として挙げられますが、その定義は意外と曖昧です。ビジネス書を読んでも頻繁に出てきますし、社是・社訓に掲げている会社も少なくないですね。

印刷業における顧客志向は「顧客の要望に徹底的に応えること」と訳されているケースが多いと思います。印刷物はオーダーメイドのため、1文字でも間違えていれば不良品となります。それでいて納期が決まっていたりするので、印刷営業にとっては顧客の要望通りに印刷物を作ることが第一優先となります。

納期ギリギリまで顧客の要望を印刷物へ反映することで信頼を獲得し、「この会社に頼んで良かった」「次回もお願いしよう」と思ってほしいというのが、印刷営業の本音です。「顧客に恩を売れ」と先輩から教わって育つのです。

しかしこれを毎日繰り返していると、「顧客志向=顧客の要望に徹底的に応えること」と信じて疑わなくなります。念のために言っておくと、私は顧客の要望に忠実に進めることを軽視しているのではありません。印刷物を作る上で必須の作業と理解すべきで、それが真の顧客志向ではないということです。

では、真の顧客志向とは何か?
具体的に言うと、この3つです。
・顧客の要求を鵜呑みにせず、自分の目で本質をとらえること。
・顧客の気付かなかったレベルまで課題を掘り下げること。
・顧客の発想にない解決策を提示すること。

顧客の商品・サービスを自ら一人の顧客として体験してみることで「顧客の顧客」の視点に立てば、本質や課題が見えてきます。そして自らの専門性を活かしながら、顧客の期待を超える解決方法を提示していくのです。

「そんなことできるわけがない」「顧客の発想を超える解決方法なんて難しい」と思うかもしれません。確かに言うのは簡単ですが、並大抵でない努力が必要です。しかし全ての会社に当てはまるとは思いませんが、印刷会社には真の顧客志向に最も近い人たちがいるのです。

ディレクターやデザイナーと呼ばれる人たちです。クリエイターは本来、このような本質と向き合うことを職業としている人たちなのです。

彼らは言葉が足りない場合も多いので、顧客に納得してもらうためのサポートが必要です。「なぜ、そう考えたのか?」「その提案を採用すると、具体的にどんなメリットがあるのか?」を説明しなければいけません。

結果だけを見せるほうが潔い気がするかもしれません。しかしデザインは結果だけを見せると顧客の趣味・趣向で判断されがちになり、好きか嫌いかの一発勝負になってしまうのです。「なぜ?」そう考えたのかというプロセスを説明することが重要です。また、数字や具体例で示すことによって客観性や説得力を増します。

それと「誰」に提案するのか?これも重要です。良い内容であっても、提案する相手によって採用される確率が変わってくるからです。提案を受け入れる理解力と権限を持った相手にアプローチすることは、まさに営業の仕事です。

一方で、印刷会社のディレクターやデザイナーも発想の転換が必要です。顧客の課題解決とは、印刷物のデザインだけではありません。「Webも?」「クロスメディアでしょ?」という声が聞こえてきそうですが、そういうことでもありません。顧客のビジネスや活動そのものをデザインするという視点が必要になってくるのです。

そういった意味では、企業の環境・CSR活動やNPO/NGOのソーシャルビジネスに関する仕事をすることは、彼らにとってプラスになることもあると思います。商品やサービスをどうやって見せていくかよりも、その企業がやっている「コト」や、どんな思いでソーシャルビジネスをやっているのかなど、その本質を理解しなければカタチにできないからです。ブランディングと非常に似ていますね。

「御用聞き型」の顧客志向は一時的に顧客から喜ばれますが、下請け的に見なされ、永続的な信頼関係を築くことはできません。顧客にとって「代替え」の効く会社だからです。
印刷会社が際限のないコスト競争に巻き込まれ儲からずに疲弊していく一因が、ここにあります。

真の顧客志向とは、専門家としての立場から顧客の本質的な課題を把握し、顧客の発想にない解決策を提示することだと思うのです。
posted by カワセケンジ at 19:56| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする